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2026.06.12

「原状回復」と「経年変化(経過年数)」について

原状回復と経年変化について
 ほとんどの方がご存じかと思いますが、借主さんには「原状回復義務」というものがあります。

 この借主さん負担の「原状回復」には、「経年変化」と「通常損耗」は含まれないという原則があります。
 ※国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より
  以下、「ガイドライン」と表記

 ただ、借主さんの中には、「経年変化」という言葉に対する勘違いをしている方が多くいらっしゃいます

 そこで、今回はガイドラインにおける「原状回復」と「経年変化(経過年数)」について詳しく解説していきます。


ガイドラインの「原状回復」

 そもそも、原状回復という言葉をそのまま受け止めれば、借りる前の状態に戻してね、という意味ですが、それでは借主さんにとってはとんでもない金額を請求されることになってしまいます。

 さすがにそれはおかしいのでは?
 ということで、国交省のガイドラインでは、「原状回復とは賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」としています。

 これは、建物(賃貸物件)価値の減少には、「経年変化」「通常損耗」「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損等」の3つがあり、この中の「経年変化」「通常損耗」は、大家さんがいただいている家賃に含まれているから、借主さんによる原状回復ではない、という考え方です。

 簡単に言えば、年数が経ってばしょうがないでしょ、普通に使っていたんだからいいでしょという範囲については、借主さんは原状回復しなくてもいいんですよ、ということです。

ガイドラインの「経年変化」

 借主さんによる原状回復に含まれない「経年変化」とはどういう意味でしょう。

 ガイドラインによると、「経年変化」とは、建物・設備等の自然的な劣化・損耗等としています。借主さんによる原状回復には、経過年数を考慮される必要があるということです。

 壁クロスは6年で経年だということは多くの人に知られているようです。
 その他、床CFやエアコン、ガスコロ、その他設備にも経過年数がガイドラインでは定められています。

 ここで、この経過年数が過ぎれば、借主さんが万が一傷付けたり壊してしまった場合に過失責任は問われないのかという点で、勘違いが多いようです。

経過年数が過ぎても過失責任はある

 経過年数が過ぎているのだから、借主さんには過失責任がないという幻想が多くの方に浸透しているようです。

 確かに、経過年数を超えているから借主さんに過失責任が無い場合もあるでしょう。
 しかし、ガイドラインには、以下のように記載されています。

 「経過年数を超えた設備等を含む賃借物件であっても、賃借人は善良な管理者として注意を払って使用する義務を負っていることは言うまでもなく、そのため、経過年数を超えた設備等であっても、修繕等の工事に伴う負担が必要となることがあり得ることを賃借人は留意する必要がある。」
 「具体的には、経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能な場合があり、このような場合に賃借人が故意・過失により設備等を破損し、使用不能としてしまった場合には、賃貸住宅の設備等として本来機能していた状態まで戻す、例えば、賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費等)については、賃借人の負担となることがあるものである。」


 

経過年数が過ぎても過失責任にあたる具体例

 経過年数を超えていても賃借人の過失責任がある場合のガイドラインの具体例は少し分かりずらいので、弊社で実際にあった事例をあげてみます。

 退去時に、入居者さんが設備であるエアコンを間違えて持って行ってしまったということがありました。
 エアコン取付から7年が経過しており、ガイドラインのエアコンの経過年数である6年は超えています。ただ、設備であるエアコンを持って行ってしまったことに関しては、入居者さんの善管注意義務違反にあたります。
 こうした場合、ガイドラインでは、エアコン本体費用は入居者さん負担ではないが、エアコンの取り付け費用に関しては、入居者さん負担ですということです。
 

 

まとめ

 「経過年数を超えているから」という理由で入居者さんの過失責任が全て問われなくなるということではないことがお分かりいただけたでしょうか。

 ネット検索などして調べると、どうしても自分にとって有利な内容ばかりが目に付いてしまうし、どこかに相談すれば、相談者にとって有利な内容をばかりを教えてくれることもあります。

 やはり、過失は過失でありますので、何かかしら責任(経過年数を超えていても善管注意義務違反ではあるということ)を負うということは自覚しておいた方がいいかと思います。

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