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2023.08.06
賃貸住宅での喫煙は汚すのはクロスだけではない!
「クロスの貼替をしていないなら、喫煙してもクロスの貼替費用はかからないですよね?」という質問がありました。
今回は、賃貸住宅で喫煙をすると、退去時にどのような費用負担が発生するかを解説していきます。
大前提として、喫煙による汚れや臭いは、借主の故意・過失(善管注意義務違反)であること、すなわち原状回復義務が発生することをまずは知っておいて下さい。
※「善管注意義務って何?」
※「原状回復義務って何?」
※今回の内容は、紙たばこの場合がメインとなります。
クロスの貼替負担について
クロスの貼替については、判例や国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(以下、ガイドライン)」では、クロスの経過年数は6年なので、クロスの貼替から6年以上経てば、クロスの貼替費用は借主負担にはなりません。
※厳密に言えば、6年の経過年数でクロスの価値は1円で、0円ではありません。
※ただし、「賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費などについては、賃借人の負担となることがある(ガイドラインより)。
当然のことですが、例えば、退去時にクロス貼替から3年しか経過していない場合は、クロスの貼替費用負担を借主は5割負担しなければなりません。
ただ、最近の特に大手の管理会社(不動産会社)の契約書を見ると、喫煙の場合はクロスの貼替費用負担は借主という特約があることが多いです。
この場合は、特約が有効か否かは分かりませんが、喫煙をすれば、6年以上経ってもクロスの貼替費用は全て借主負担となります。
喫煙した場合は実は大変なことになる
ガイドラインの切り抜きのような感じで、退去時のクロス貼替についての知識がある方は増えているようです。
しかし、喫煙をした場合には、クロスに色や匂いが付く以外にも、多くの汚損を生じさせます。
クロスの経過年数によってはクロスの貼替費用負担がなくなるという借主にとって有利な内容ばかりに目がいって、経過年数のない部分に気付いていない方が多いようです。
建具(扉など)、柱、窓サッシ、その他部屋全体にヤニ汚れは付着します。
このヤニ汚れは通常クリーニングでは済まなくなり、借主に特殊清掃費用の負担が発生します。
この特殊清掃は、数万円かかります。
さらに、特殊清掃でも落ちないヤニ汚れもあります。
建具(扉など)に付着したヤニ汚れは特殊清掃で落とせないことが多く、この場合は、建具の表面を貼り直し、もしくは建具交換となります。
これが、かなりの費用がかかります。
建具1枚あたり、数万円と考えた方がいいです。
実際に喫煙による過失負担の例
ある賃貸物件で、11年入居していた方が喫煙をしていました。
LDKはクロスが黄色に変色、LDKの扉、カウンター収納扉、カップボード扉全体が黄色に変色していました。この変色は特殊清掃でも元に戻りません。
クロスは11年入居していたので貼替費用負担はないのですが、それ以外の借主費用負担は、以下の通りです。
扉貼替費用 : 72,000円
カウンター収納扉貼替費用 : 33,000円
カップボード扉貼替費用 : 37,000円
特殊清掃費用 : 20,000円
合計 : 162,000円+消費税
賃貸物件で喫煙をすると大変です
上記の例は、喫煙箇所がLDKに限られていたようで、他の部屋の扉等の貼替は必要なかったのですが、もし仮に、所かまわず喫煙をしていたとしたら、さらに費用負担がかさんでいたかもしれません。
以前、トイレや浴室でも喫煙していた部屋があり、トイレの便座、フタ、浴室の壁までが黄色に変色していることもありました。当然、トイレの便座、フタの交換費用、浴室の壁は特殊清掃でも無理なため、壁にシートを貼るという貼替費用が発生しました。
さらには、インターホン、モニターホン、火災報知器、天井にある照明の引掛けシーリングなど室内にあるものが変色すれば当然交換です。
また、部屋外にある排気口回りも汚れますので、こちらも特殊清掃費用がかかることもあります。
つまり、上記の例はまだ安い方かもしれません。さらに数万円から数十万円の原状回復費用がかかる可能性はあります。
喫煙をするということは、リスクがあるということを知っておいて下さい。
喫煙による汚損、匂いの付着は、借主の故意・過失です。
借主の故意・過失による場合は、当然、借主に原状回復義務が発生します。
喫煙は広範囲を汚損することになるので、喫煙者は高額な費用負担が生じることを心得ていなければなりません。
部屋内がダメならベランダで、はダメです。
最近の集合住宅では、ベランダでの喫煙を禁止にしている場合が多いですし、仮に、ベランダで禁止という条項が契約書類になかったとしても、近隣からのクレーム対象となります。
ベランダでの喫煙は、近隣に迷惑をかける行為です。
今後、電子タバコの場合はどうなるか。まだ私も経験をしていないので、どのくらい汚損が生じるのか、どのくらい匂いが付くのか分かりません。
電子タバコを吸う方は気付いてないかもしれませんが、吸わない人からすれば思った以上に匂いはしています。なるべくなら所かまわずではなく、換気扇の下で吸うなどして汚損等を減らすことを考えた方がいいかもしれません。
私の実体験
実を言いますと、私も喫煙者です。
賃貸物件での経験上での話ですが、その当時は、キッチンの換気扇の下で換気扇を回しながら喫煙をしていました。それ以外の場所では一切喫煙をしていません。
※若いころ一人暮らしをしていた部屋で高額な費用を払った苦い経験があります。
これでも、換気扇回りは色が付きます。なので、頻繁に拭き取っていました。
また、換気扇からの排気口回り(私の場合は廊下側にありました)も色が付きます。なので、そこも頻繁に掃除をしていました。
汚すことは過失ですので、汚したら掃除をするということを徹底的にしていたので、それほど費用負担はありませんでした。
※喫煙していたことを告げて、換気扇回り等の特殊清掃費用代は払いました。
契約時にこの話を喫煙者にしたら、その喫煙者は換気扇の下のみで喫煙をし、まめに拭き掃除をしていたらしく、私が退去立会いをしたときには、喫煙していたことが分からなかったぐらいのときもありました。
※あくまでも個人の経験上の話です。